俺は小さい頃、親父と毎日のように野球してた。
でも中学生くらいになって、いろいろ忙しくて、野球は続けてたけど、親父とはキャッチボールすら一緒にしなくなってた。
だからといって仲が悪くなったわけでもなく、夕御飯のときとか、一緒にいるときはよく喋ってた。
そんな中2の夏、親父は肺の病気にかかった。
そして、入院してからすぐ1ヶ月ほどで逝っちまった。
俺は泣いた。
そりゃ家族なら悲しいからな。
でも俺は母さんから親父の生前の話を聞いてもっと泣いた。
親父入院してるとき、毎日のようにこう言っていたそうだ。
「もう一回、あいつとキャッチボールしてえな」
「でも無理か。今はあいつ、土日は家にいないし」
「頼んでも断られるのがオチだな」
俺は親父にキャッチボール頼まれて嫌だなんて言う息子じゃねえよ。
今はもっとうまく投げれるのによ。
親父から教えてもらったスライダー。