引退を決め、名古屋とレッドスターとの引退親善試合を終え、ベオグラードに旅立つ数日前に私(ドラカン・ストイコビッジ)(ドラガン・ストイコビッチ)は家族4人で名古屋のレストランに出かけた時のこと。
レストランに入っても誰も私に気づかないので、今日は自分の事を知らない人ばかりだろうと思い、4人で会話を楽しんでいた。
食事を終え、立ち上がったとたん、一斉にお店中に拍手の音が鳴り響いた。
一瞬何が起こったかわからず呆然としたが、周りを見回して見ると、皆、笑顔を見せながら、こちらに向かって拍手しているではないか。
しかも「ピクシーありがとう」という感謝の言葉を口にして・・・。
レストランに居た人達は私達を気遣って食事が終わるまで敢えて無関心を装ってくれていたのである。
ケガをして、傷心でやってきた私を助けてくれたのはむしろ日本のほうなのに・・・・。
なんと素敵な人達なのだろうか。
私が居た他の国で、こんなに素晴らしい人達がいただろうか。
私たちは思わず涙が出そうになった。
本当に日本に来て良かったと改めて思った。
私はこの日のことは一生忘れないだろう。
私達の方こそ言いたい、「日本の皆さん、ありがとう」と。