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泣ける話

サンドイッチ

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サンドイッチ

俺が中3の時の話
 
元々母さんは精神病を患ってた。 

でも俺が生まれる何年も前にほとんど完治してたらしくて、俺は全然病気の心配なんかしてなかった。

そんなある日、母さんが事故にあった。
どうやら曲がり角のところで車に跳ねられたらしい。

幸い命に別状はなかったが、右腕と右足がほとんど動かなくなり、さらに動くと首にも激痛が走るらしかった。

元々活発だった母は動いたり、外に出ることができなくなって、段々うつ状態になっていった。
 
そして、治っていたはずの病魔がだんだんと動き始めた。

そん時は地獄のようだったよ。
俺が今まで見たこと無い母さんが現れるんだ。

毎日毎日、その日によって性格が変わるんだ、暴れだしたり、かと思えば泣きだしたり、俺に暴言をはいたり…

帰ってきたら母さんが首に縄巻いてんだぜ?
包丁持ってたり、俺に包丁つきつけて

「一緒に死のうか…まさ君…」

って言ったこともあった。

ホントに辛かった。
 
親父は親父で仕事が忙しくて、ほとんど海外にいた。
頼れる親戚も兄弟もいなかった。

おまけに俺は受験だった。
いろんな不安で心が押しつぶされそうになった。
 
これはさすがに家族には手に負えないってなって、精神病院に入院することになった。

入院先は閉鎖病棟。
面会に行った時、閉鎖病棟の隅っこで小さくなって俺の名前を泣きながら叫んでる母さん見たときはホントに泣きそうになった。

すこしだけど良くなって、母さんが家に戻ってきた。 

叫んだりはしなくなったけど、こんどは記憶の感覚がごちゃまぜになった。

中3の俺が2歳になったり、8歳になったり、時には死んだ母さんの弟になったり…
 
それでも行動的なところだけは昔のままで、歩けないのに歩こうとして転んで血を流すなんてしょっちゅうだった。

普通なら俺がどうにかしなきゃいけないんだけど、どうしても勉強で忙しくて、見て見ぬふりしちまってた…
  
入試前日、俺が学校から帰ってくると、母さんがいろんなところに擦り傷作って台所になっていた。

足もとには大きな買い物袋…
どうやら買い物行って来て、そこらじゅうで転んで擦り傷作ったらしい。
 
そしたらさ、色んなとこから血出しながらサンドイッチ作ってんだよ。

俺が小さい頃一番好きだった母さんのサンドイッチ。

「まさ君喜ぶかな? まさ君…まさ君…」

って泣きながら俺の名前呼んでんだ…

「明日は一緒に、お出かけしようね」

とか、

「明日は運動会だね」

とか色々言ってんだよ。

なぜか知らないけど明日は特別な日ってことだけは知ってんだな… とか思いながらさ、

そしたら急に泣き出してこう言うんだ。 

「まさ君… お母さんはどうなっちゃうんだろ… まさ君…まさ君…」 

ず~っと俺の名前を呼ぶんだよ。
立ってるのも辛いはずなのに、泣きながら…
ホントに切なかった。 

次の日、母さんのサンドイッチを持って入試に行ったよ。昼飯食った後の5時間目の社会。

なんでかわかんないけど眠くなっちまって、一問もとかずに眠っちまったよ。
 
そん時見た夢は今でも覚えてる。
俺が母さんに抱きしめられてた夢だった。

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