私は中学生の頃に癌で母を亡くした。
母は頑張り屋で弱音も吐かなかった。
癌の初期症状も出ていたのに私たちに言わなかったらしい。
ある日母が急に倒れて救急搬送。
どうすることも出来ない状態まで癌は進行していた。
母を問いただすと
「ごめんなぁ…お母さんこんなんなってしもて…」
と謝ってばかりだった。
日に日に進行していき、遂には話すことも困難になってしまった。
そしていよいよ峠。
医者からも『覚悟しろ』と言われ、泣く泣く母のもとへ向かった。
母はカサカサの口を開いて
「ごめんなぁ…○○…ごめんなぁ…」
とまた謝ってばかりだった。
「お母さん、もう謝らんで。な?笑ってぇな」
父も私も号泣して、すごい顔だったと思う。
「○○…お父さん…これ…」
母が震える手で取り出したのは封筒。
「ありがとうな…ありがとな…○○…お父さ…」
その瞬間母の手から力が抜け、瞼を閉じた。
母は逝ってしまった。
ずっと泣きっぱなしだった。
そのあと、もらった手紙を読み、私はさらに号泣した。
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○○へ
この手紙を読んでるならお母さんはもう
死んじゃってるよね。
ごめんね。淋しい思いさせて…
お母さんはいつでも見守っているからね。
いくら辛くても早くにお母さんのところに来ちゃだめよ。
幸せになって、人生最後まで生きて、皆に見守られて人生終えてから来なさい。
お母さんいつまでも待ってるから。
お父さんと仲よくね。
見守っているからね。
お母さんより
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