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泣ける話

あの人を追いかけた

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あの人を追いかけた

10年ちょい前かな。学生の頃、ふとしたことで出会ったコに惚れて。
しばらく付き合ったけど、学生の2人には1本の県境ですら遠くて。

ある夏の日、兄に借りた車走らせて会いに行って少しドライブして、
ゆっくり話そうと車を停めた海で、「もう会わないほうがいいと思う・・・」と言われた。


近くの駅で降ろして、と、言われるまま駅で降ろして「じゃあ・・・」

彼女が改札を抜けたのを見てから俺はアクセルを踏んだ。




ふと、「(やっぱこのまま帰れないよ俺・・・)」って思いが浮かんで、
その途端タイヤ鳴らしてUターン、信号も守らないでもう一度駅に戻り、
車を停め駅まで走った。

恋愛に対して、あんなに形振り構わぬ行動した瞬間はなかったな。
入場券を買って、通路を走って、階段駆け上がって、ホームに着いたらちょうど電車のドアが閉まったところだった。



俺は走ったよ。走って電車を追っかけた。もう、涙なんか浮かべちゃってさ。

どこかで、俺一体何やってんだろって思いながらも必死で追った。

でも、これでもう会えないんだって思うと切なくてさ。




小さくなっていく電車が、涙でよく見えなかった。



そんなとき、遠く・・・いや、近くかな。

聞き慣れた声が俺を呼ぶのに気付いて。

その声がした方を振り向くと、追いかけたはずのその人が笑ってた。

「何やってんのー?私こっちの電車だよー」

今まで張り詰めてた気持ちが全部一度に解けた感じがして、

笑いながら泣きながら、ごちゃごちゃの感情で反対のホームまで走った。

彼女も走ってきてくれた。笑ってたけど、ちょっと泣いてた。




抱き合って、やっぱまだ離れられないよって、泣いた。

二人して泣きながら、でもホーム間違えてるのカッコ悪いよなんて笑って。

結果的にもう一度付き合うことになったが、

あの時、走ったホームを間違えてなかったら

シリアスすぎてこうはならなかったかもしれないなんて、いい笑い話になってた。



そしてそれから数ヵ月後の1月17日。

阪神地方を襲ったあの大きな地震で、彼女は帰らぬ人となった。






あれからもう10年過ぎて、俺も俺なりの人生見つけたけど、

あの須磨駅であの人を追いかけたこと、今でも忘れられない。

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